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有毒害生物大事典、動物編 

※元の出版が沖縄の出版社なので、書名に「沖縄」とついていますが、内容は世界の有毒動物を対象にしています。

咬症 (かまれた) 1982年 発行時の内容です

アリ類 -----------------------

   昆虫類は世界に約75万種も記録され、全動物の4分の3を占めるという大きな動物群ではあるが、その中で咬症

 が問題となっているのは、アリ類だけである。(従来、咬むと考えられていた、シラミ・ノミ・ナンキンムシ・カメムシなどは、

 注射針のような口器で刺すことで害を与える「刺毒害昆虫類」)

  アリ類は、《膜翅目》 Hymenoptera の《アリ科》 Formicidae に属し、世界中に広く分布する最もありふれた昆虫類で、

 これまでに、世界中には約3,500種が知られている。我が国には1,000種以上が生息し、南西諸島にはその内の15種類

 が記録されている。アリ類が独特の階級組織をもつ社会生活を営み、地底に王国を築く昆虫類であることは、すでに

 よく知られているが、事実、地面の中で生活しているツチバチから分化したもので、その証拠に、アリの中にはハチと同じ

 ように、毒棘(どくきょく)をもつものが見られる。 通常、地面に見られる《働きアリ (♀)》 には翅はないが、巣の中にいる

 《女王アリ》 や 《雄アリ》 には翅があり、飛ぶことが出来る。眼はあまりよく見えないが、触覚が発達していて、これによって

 物を見つけたり、味や臭いをかぎ分ける。アリの口器は、体の割にはよく発達しているが、大きなあごは獲物をとらえたり

 運ぶために役立っている。

 

アリによる咬症(こうしょう) --------------------

   アリの仲間には、激しく咬むものが多く、これに咬まれると、刺激性の激しい痛みを感じる。 畑に寝かせていた乳児や、

 木の枝につるした揺りかごの中の乳児が、無数のアリに咬まれて失明したり、重症に陥った例がこれまでに知られている。

 沖縄では、雑草の中に鳥の巣のような、かたまりをよく見かけるが、これは大型のクロトゲアリ Polyrhachis dives の巣で

 うっかり触ると、大変なことになる。咬まれると、局部は真っ赤に腫れて、長らく痛むので、原野に入るときには気をつけ

 なければならない。・・・

 

  アフリカや南米には、恐ろしい軍隊アリ Eciton spp. が生息している。このアリは、巣を作らずに幼虫を運びながら旅をする

 という特異な習性をもっているが、この集団に襲われると、猛獣でもたちまち狂い死にすると言われている。・・・

 

  南米のアマゾン地方には、《ホルミガ = デ = フェゴ》 Hormiga de Fuego (火のアリ の意味)と呼ばれる赤黄色の微小な

 アリがいて、知らずに巣を踏みつけると、たちまち這い上がってきて、激しく咬みつく。その痛みは、火をつけられたように、

 猛烈なもので、咬まれた跡は火傷と同じような炎症を起こし、何日も痛みがつづく。

  このアリ Solenopsis saevissima のグループ(ヒアリの仲間)の毒は、5種類の《アルカロイド》 Alkaloid であることが判明

 している。・・・

 

 アリの毒は、一般に 《蟻酸》 Formic Acid と言われているが、スズメバチやミツバチの毒に似たタンパク成分も含まれて

 いる。 アリに咬まれると、痛みとともに、「かゆみ」や局所の炎症が起こるが、これは鋭い口器で咬み傷をつけ、腹部に

 ある《肛門腺》 anal gland から、《蟻酸》を含んだ毒液を射出することで生ずる。

 →以上、『有毒害生物大事典』より抜粋

 

   

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  ※ 治療・対処方法につきましては『有毒害生物大事典 動物編』に詳しく記載されています。

    『有毒害生物大事典』の詳細はこちらをご覧ください。 生物情報社

 

 

 

 

 

 

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