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有毒害生物大事典、動物編

クモ類による咬症

クモ類 -----------------------

   クモ類は《節足動物門》・《蛛形綱》(挾鰓綱ともいう)に属する動物であるが、この仲間にはサソリや

  ダニ類も含まれているので一般にクモといえば《真正クモ目》の動物をさしている。

  世界中に現生種は、約32000種(文献により20000〜100000種と異なる)。

  わが国には約1000種が記録されている。

 

クモ類の咬症 --------------------

  クモ類は発達した《上あご》と《下あご》によって獲物を捕らえるが、牙状の上あごは頭胸部にある《毒腺

  とつなっがていて、咬むことによって毒を注入し、獲物を麻痺させる。そのため、時には人間も咬まれて、

  《クモ咬症》が発生する。 しかし、大部分のクモ類の毒性は人間に対しては弱く、咬まれても被害を

  受けることは少ないが、中にはかなり強いものが知られている。

  わが国では、カバキコマチグモChiracanthium japonicum) による咬症例が、かなりひんぱんに起こって

  いるが、激しい痛みと腫脹以外に重い症状は見られない。 《アシダカグモ科》に属するアシダカグモ

  Heteropoda venatoria) は脚を伸ばすと10pにもなる大型種で、わが国では家の中で普通に見られるが、

  咬まれた場合にはかなりの痛みを感じる。しかし、毒性はあまり強くない。

   

  毒グモとして世界的にもっとも恐れられているのは、《ヒメグモ科》に属するクロゴケグモ(Black Widow :

  Latrodectus mactanus)で、北米から南米・アフリカにかけて分布する。毒性は極めて強く

 (LD50 1.3μg/g マウス腹腔内)コブラの毒に匹敵する。アメリカ合衆国では毎年1000件の咬症事故が発生し、

 そのうち4〜5名が死亡しているという。 クロゴケグモ以外の《ゴケグモ類》は、いずれも哺乳類に対して

 毒性は強い。

 

ニュージーランド・オーストラリア・ニューギニア・インドなどに棲息する《セアカゴケグモ》(Red Back Spider :

Latrodectus  hasselti )などは、もっとも咬症例が多く、クロゴケグモと同様に死亡例も報告されている。

セアカゴケグモは、戦前から戦後にかけては、沖縄県の石垣島と西表島にもかなり見られた。特に戦後の開拓時代の西表島では人々がよく咬まれて、医師の治療を受けたことが伝えられている。 

通常土の中に生息しているが、サトウキビの葉の裏側にひそんでいることが多く、キビの刈入れの時期には、事故が多かった。今日ではまったく見られないのは、農薬の散布によって絶滅したせいであると言われている。セアカゴケグモの毒性も極めて強い(LD50 1.0μg/g マウス静注)。

      →以上、『有毒害生物大事典』より抜粋

セアカゴケグモ

  

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  ※ 治療・対処方法につきましては『有毒害生物大事典 動物編』に詳しく記載されています。

    『有毒害生物大事典』の詳細はこちらをご覧ください。 生物情報社

 

 

 

 

 

 

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