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最近になり、これまで等閑視されてきた《方言》が見直されたのか、「ふるさとの遺産」として新聞やテレビなどでしばしば取り上げられるようになってきました。
動植物の名前を《和名》といい、われわれ日本人が使用する生物の呼び名は総て《和名》の範疇に入ります。結果、一つの生物に対して各地方や使う人々によって、複数の名前が存在することになります。そのため生物学の世界では、図鑑や辞典などで使用する基本となる《和名》を《標準和名》として区別しています。
しかし、前述のように学者が命名する以前から、大部分の動植物には各地方において固有の呼び名(方言名)が付けられていました。明治の初期にその道の学者が目録や図鑑類製作に際し、広く多くの地域で使用されている“呼び名(方言名)”から妥当なものを判断し、《和名》として採用しました。
現在でもなお、各地方においては多くの方言名が使用されていますが、情報化の進む中、忘れられてゆく名前も多いのが現状です。動植物の《方言名》《地方名》の語源は、その地域の歴史や習慣から由来するもの、また、その形態や生態から起因したものであり、生物学・国語言語学の面からも重要な日本語といえます。
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その第一歩として、一定の基準もなく混乱の状態にあった、動植物の《方言名》《地方名》を整理・統合し、一つの辞典として集約したものが、この『全国方言集覧
動植物標準和名⇒方言名検索大辞典』です。
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